プロフェッショナルなビジネスウェアで夏のオフィススタイル

夏季のオフィスで活躍するプロフェッショナルなビジネスウェアの紹介

バーバリー、18年度は前年並み ティッシ効果は19年度に

バーバリー(BURBERRY)の2019年3月期決算は、売上高が前期比0.4%減の27億2000万ポンド(約3808億円)、営業利益は同6.5%増の4億3700万ポンド(約611億円)、純利益が同15.4%増の3億3910万ポンド(約474億円)だった。なお、コティ(COTY)とライセンス契約を締結しているビューティ事業を除いた売上高は同2.2%増だった。

ビューティ事業を除いた地域別では、アジア太平洋地域の売上高が同2.1%増の11億400万ポンド(約1545億円)、欧州・中東・インド・アフリカは同2.1%増の9億5800万ポンド(約1341億円)、南北アメリカは0.1%増の6億1200万ポンド(約856億円)だった。既存店売上高は、いずれの地域も1~2%程度の成長率だった。下期は中国本土での売り上げが伸びているが、これは中国政府による輸入税率引き下げの影響で、中国の消費者が旅行先ではなく国内でより多く買い物をするようになったためだ。その分、旅行先だった日本や香港の売り上げが減少している。

同社は新戦略を打ち出すなど転換期のただ中にあるが、その一環として80店程度を改装するほか、より小規模な38店を19年度中に閉店する。なお、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)=チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のコレクションは非常に好評で、前期比で2ケタ台の成長率を見せているという。

マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)は、「コスト削減などが順調に進んでおり、結果に満足している。リカルドによる製品が店頭に並んだのは19年2月頃からで、それもコレクションの10~15%程度だったため、その効果は今期の売り上げにまだほとんど反映されていない」と語った。なお、バッグ類は旧コレクションの売り上げ減速が業績に響いたが、ティッシCCOのコレクションが増加するにつれて持ち直すものと見られている。

ジュリー・ブラウン(Julie Brown)最高執行責任者兼財務責任者は、「改装された店舗にリカルドの製品が並び、さらに素晴らしい顧客体験を提供できるようになった」と述べた。

激しさを増している米中貿易摩擦について、ゴベッティCEOは、「当社は製品の多くをイギリスとヨーロッパで生産しているため、調達面での影響はほとんどない。懸念があるとすれば、何らかの理由で中国の消費者による購買意欲が低下することぐらいなので、それが引き続き旺盛であることを願っている。米中貿易協議は今後も山あり谷ありで続けられるだろうが、両国とも落としどころを探っていると思う」とコメントした。


「モンクレール ジーニアス」が毎週主役を変えるポップアップ

モンクレール Tシャツ コピー(MONCLER)」とクリエイターのコラボコレクション「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」は10月5日、8つのコレクションに週替わりでフォーカスするポップアップストア「ハウス オブ ジーニアス」を東京とニューヨークにオープンする。東京は、南青山の元「ケイト・スペード ニューヨーク」跡地。トップバッターはポップアップストア出現と同時に発売となる、フランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)「モンクレール」アートディレクターによる「8 モンクレール パーム エンジェルス」だ。

「モンクレール ジーニアス」は、時代の潮流である多様性にフォーカスし、藤原ヒロシ、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の二宮啓らさまざまなトップクリエーターと組むことで、バラエティーに富んだ洋服やスタイルを生み出している。南青山にオープンする「ハウス オブ ジーニアス 東京」も、一つのブランドのブティックであるにも関わらずコレクションごとに個別スペースを設けるなど、まるでセレクトショップのような新しい形態の店舗となる。

内装は「モンクレール ジーニアス」のファースト・コレクションを発表したミラノのプレゼンテーション会場をイメージ。12月末までに全コレクションに週替わりでフォーカスし、そのたびに商品を先行販売したり、限定アイテムを発売したりするほか、ポップアップ限定の「ザ・イエロー コレクション(THE YELLOW COLLECTION)」をローンチする。

「ザ・イエロー コレクション」は、「モンクレール ジーニアス」のキーカラーであるブラックとイエローのTシャツやビーニー、ボディーバッグのほか、ステーショナリーやiPhoneケースなども用意する。2本380円の鉛筆など、ダウンが買えない人でも、楽しめるポップアップだ。


「ヴァレクストラ」CEOが語る 伊勢丹ザ・ステージをスモークに包んだ理由

ミラノ発レザーグッズブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」のポップアップイベント「ヴァレクストラ メトロポリス」が4月に伊勢丹新宿本店ザ・ステージで開催され、このイベントのためにサラ・フェレロ(Sara Ferrero)=ヴァレクストラ最高経営責任者(CEO)が来日した。彼女とは、4月前半にミラノで開催されたデザインの祭典「ミラノサローネ2019(MILANO SALONE以下、サローネ)」で会ったばかりだ。「サローネ」では、イギリス人建築家のジョン・ポーソン(John Pawson)がリニューアルを手掛けたミラノ本店を披露した。フェレロCEOは「東京でポップアップがスタートするから、それに合わせて家族と来日し、富士山や京都にも行くつもり」と興奮した表情で話していた。

フェレロCEOが「ヴァレクストラ」CEOに就任したのは2015年。それ以降、売り上げが就任当時の4倍になったという。彼女は大学でビジネスを学んだ後にMBAを取得し、金融コンサルティング企業のマッキンゼーでキャリアをスタート。その後、「フルラ(FURLA)」や「ジョゼフ(JOSEPH)」などで要職を務めたということで、彼女の経営手腕はもちろんのこと、ブランディングに効果的なコラボなどの人選やネットワークづくりもさすがだ。

昨年は、ミラノ本店のインスタレーションを手掛けた隈研吾との数時間のミーティングのためだけに来日するなど必要であればトンボ返りでも自ら現地に足を運ぶ。ブランドに対する情熱も相当なものだ。ブランドを発信するために協業するアーティストや建築家の選定も自ら行い、直接交渉する。選定するクリエイターもポーソンや隈のような大物から、気鋭のイギリス人若手アーティストのベサン・ローラ・ウッド(Bethan Laure Wood)までそうそうたる面々だ。CEOであり、妻であり、2児の母でもある彼女に、ポップアップやコラボレーションなどについて話を聞いた。

今回のポップアップショップのコンセプトは?

ジャコモ・ムーア(Giacomo Moore)の家具やニューヨークの蜃気楼がイメージソース。それをもとにムードボードを作ったの。蜃気楼と雲のシュールな空間にしたかった。バッグのシリーズごとに展示を区分けしているから、街を歩いているような感覚でショップを楽しんでもらいたい。あくまでも主役はバッグだけど。

WWD:今回は“セリエ エス”やスニーカーも登場したが?

“セリエ エス(SERIES)”は1960~70年代のイタリアのデザインを象徴した有機的でフェミニンなラインが特徴。当時は「オリベッティ(OLIVETTI)」のタイプライターなど全てが丸みを帯びたデザインだった。バッグの脇にはまるでえくぼのようなくぼみがあるのもポイントよ。スニーカーはミラノとロンドン、北京、東京で販売する。防弾チョッキに使用される丈夫な素材を使用した“ケイ ヴァル”バッグは日本限定で、仕事やジム用、旅行といろいろな用途があるから重宝すると思うわ。

下からスモークが出てきたが?

雲の雰囲気が出るでしょう。スモークがこのポップアップを特別なものにしてくれる。通常、この場所でスモークを使うことはできないけど、伊勢丹新宿本店は特例をつくってくれた。本当に感謝しているわ。これから店頭で、来てくれた日本人とコミュニケーションをとるつもり。とてもワクワクしているわ。日本人がどのような形や色を好むか理解したいから。

ずいぶん凝ったセットだが?

イタリアで制作して日本に送った。この設営は今朝3時から取り掛かって6時に完成したわ。商品のストックが置ける棚もあるしシートもある。ザ・ステージの場所は人通りが多いから、その喧噪を忘れるような快適な空間にしたつもりよ。女性だからついついいろんなことを考えて、期間限定のブティックでも“収納”や“シート”などと欲張りになるのよね。

ザ・ステージ終了後はどうするか?

再利用するつもりよ。海外の別の百貨店で使うかもしれないし、アレンジしてオフィスで使うかもしれない。昨年のミラノ本店の隈氏のインスタレーションだって、50%以上をアーティストや友人に販売したわ。テーブルの30%はオフィスで使用している。残りはアーカイブとして残したり、アップサイクルしたりして使うつもり。

販売する理由は?

無償で提供したらありがたみが分からないじゃない。とにかく、インスタレーションなどに使用した全てのものは、販売するか再利用して無駄にはしない。

「ヴァレクストラ」のフィロソフィーは?

1937年に設立されたブランドで、高品質でタイムレスであること。あと、カラフルで洗練されている点。50年代にデザインされたバッグが今でもベストセラーよ。半年ごとに替わるようなバッグじゃないの。毎日使えるし、長年使える。だから投資しても、毎シーズンバッグを買い替えるよりはずっといい。新商品に関してもタイムレスでずっと使えるものでなければならない。だから、シーズンごとに新作を出したりしない。じっくりとそのコンセプトに合っているかどうかを考えた上で、出せる時に出すというスタンスよ。

多くのラグジュアリーブランドとどのように戦うか?

「ヴァレクストラ」がどのようなブランドか、どのような価値があるのか、なぜ「ヴァレクストラ」なのかという点をいろいろな方法を使って伝えていくしかない。「ヴァレクストラ」がクリエイティブなブランドであることは気付いてもらえている。これからは、いろいろなストーリーを通じて、顧客予備軍にファンになってもらいたい。「ヴァレクストラ」は持つ人を引き立ててくれるバッグよ。主張せずにその人のスタイルを完成させる、それが「ヴァレクストラ」のバッグなの。


ビームス新井バイヤーに聞く「ポロ ラルフ ローレン」別注の裏側

ビームスは4月20日、「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN以下、ポロ)」に別注したキャップ(1万円)とショーツ(1万4000円)をビームス各店で発売する。「ポロ」ではこれまでになかった、全てのパネルのカラーが違う多色使いのクレイジーパターンで、それぞれのパネルに「ポロ」のアイコニックなポニーの刺しゅうを施す。仕掛けたのは「ポロ」を愛してやまないビームスの新井伸吾バイヤーだ。“ポロ愛”で実現したという別注誕生の裏側を聞いた。

新井バイヤーは「ポロ」のビンテージコレクターと聞きました。そもそも「ポロ」を好きになったきっかけは?

新井伸吾バイヤー(以下、新井):両親がアパレル会社に勤務していたこともあって、小さい頃から洋服に触れる機会は多かったんです。14歳の時にテニスでNYにホームステイする機会があり、その時出会った人たちが柄シャツや“92”と書いたシャツを着ていました。テニスウエアって色合わせとかを全身でマッチングさせるんですけど、その時のその格好が全身でファッションを楽しむという感じで憧れました。後に、かっこいいと思った柄シャツや“92”と書いたシャツが「ポロ」のモノだと分かって。帰国してからも雑誌とかで勉強したり。それが「ポロ」を好きになった始まりです。

今回の企画はどのようにして生まれたのですか?

2017年からビームスメンズバイヤーを担当しているのですが、NYの「ポロ」の本社に行く機会をもらえました。それは次のシーズンのモノを見られる展示会なんですけど、「手ぶらでは帰れない」と思っていたので、いつも私物の「ポロ」のビンテージを着て行くようにしていたんです。3回目の時にたまたまロビーで「ポロ」のスタッフに「どうしてそれを着ているの?」と写真を撮られて。実はその時、写真を撮った人がMDのトップの方で、僕の着ていたビンテージが次のシーズンの復刻商材だったみたいなんです。それで、一気にお近づきに成功したというか、やっと「ポロ」愛が伝わった。実は、1回目からプレゼンシートは持って行っていたんですが、3回目にしてチャンスをもらうことができました。

ビームスとしてはコラボや別注に関してどう考えていますか?

ブランドはロゴがありますが、ビームスはセレクトショップなので、ロゴが得意なわけではありません。だから僕はビームスの色を出さなければならないと考えています。今回の別注に関して言えば、ビームス=クレイジーパターンだった。だから表から見たらどこにも“ビームス”とは書いていませんが、配色だったりパターンだったりを見て、ビームスっぽいねと思ってもらえればいいなと思っています。

今回のデザインコンセプトは?

やはりクレイジーパターンです。“パネル使い”にフォーカスして、4面全てのカラーを変えたかった。「ポロ」の本社に行くと、色々な生地が積まれているので、その中にある生地から「少し落ち着いた色」や「少し柔らかい色」みたいなリクエストを出しつつ、キャッチボールを重ねていきました。「各パネルにポニーの刺しゅうを入れたい」とリクエストしたのですが、「ポロ」側のアイデアで、左右上下非対称な位置に刺しゅうを入れることなって。こんなクレイジーな仕様が許されるのかとびっくりしました。「ポロ」とビームス両方のアイデンティティーが混ざりあって完成したアイテムです。

これまでの個人的な「ポロ」のエピソードはありますか?

僕は「ポロ」をビンテージショップでも買いますが、いわゆるリサイクルショップとかスリフトストアとかでも探していて、掘り出しモノを見つけるのが好きですね。だから高いお金を出して買ったモノもあれば、1000円で買ったモノもあるし、トレードもあります。今回の企画のきっかけとなったNYでは、「リビエラ」というシャツを着ていました。ビンテージポロ界では通称名で呼ばれることが多くて、他にも「テニスマン」や「ウィングフット」「Pウィング」「92」「93」とか世界共通で会話が成立するんです。日本企画やアメリカ企画もあって、製造国、モデル、程度、サイズとか、いろんな角度から話が盛り上がります。

今後の「ポロ」との予定は?

大好きな「ポロ」に別注できて、夢がかなったといえばそうなんですけど、夢のまた夢みたいなものが生まれきたというか。これで終わりたくないので、可能な限り続けていきたいと思っています。