プロフェッショナルなビジネスウェアで夏のオフィススタイル

夏季のオフィスで活躍するプロフェッショナルなビジネスウェアの紹介

ファッション業界の騒動を振り返る 企業・ブランドに求められる対応とは

2019年もデザインの模倣や労働環境問題など、さまざまトラブルが噴出し、訴訟に発展したケースも多かった。法令遵守の意識が高まる中、国内外でファッションローと呼ばれる法概念が浸透しようとしている。

日本初の解説書「ファッションロー」(勁草書房)によると、ファッションローとは、「ファッションデザイナーやファッション産業に関わる知的財産法、契約法、会社法、商法、不動産法、労働法、広告法、国際取引法、関税法等を含む法領域の総称」を指すという。範囲は広いが、最低限度の法知識を持つことは、職種を問わず円滑なビジネスのために必要だ。

そこで、2019年にの記事の中から、話題となったファッション業界の訴訟をまとめてみた。あわせて、SNSをにぎわせた疑惑の騒動の他、業界人をサポートする弁護士などの活動を紹介する。

SNSが発端となって訴訟や炎上騒動に発展することも少なくない。最近では、インフルエンサーの「ダイエット プラダ(Diet PRADA)」によるSNS上での指摘が追い討ちをかけ、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」が中国市場を失いかねない事態に追い込まれたように、SNSの影響力は今やあなどれない。

上で見た通り、ファッション業界における訴訟や疑惑、炎上騒ぎは後を絶たない。一方でブランド側が、コピー商品が蔓延する現状を逆手に取ったマーケティングを行うこともある。“パロディー”も業界ではよく見る手法だ。

複雑な法解釈に頭を悩ませている業界人もいるのではないだろうか。そんな業界人に手を差し伸べるファッションローに精通した法律家を一部紹介したい。彼らは無料の法律相談を設けるなど、門戸を広く開いている。ファッションローを解説するイベントや弁護士らによる講習会など、現在では数多くのファッションロー関連イベントが企画されている。また、「WWDジャパン」は毎月、ファッションローを専門とする法律家を招く「ファッションロー相談所」を連載している。


オーバーオール メンズ 着こなし

もともとは作業着であり、一昔前にはかわいらしさを出しつつ体型を隠せる服としておデブの制服だった“オーバーオール”。今ではオシャレな男性に好まれるアイテムと変貌を遂げました。ちょっと間違えると子供っぽくなってしまう“オーバーオール”。今回は、大人の男にふさわしい着こなしを厳選して紹介していきます!!!

overall は全身を覆う形状をした作業着全般を指し、「つなぎ」の作業着なども含むが、日本語の「オーバーオール」は、 アメリカ英語: overall とほぼ同義であり、特に胸当てとサスペンダーの付いたズボン(bib and brace)を指す。フランス語: salopetteからサロペット(元来は吊り紐が背中で交差された衣服)とも呼ばれる。

元々は中に着ているトップスに汚れがつかないように作られた服だったが、現在では作業着はもちろん、子どもの遊び着やファッションとしても愛用されている。また肩から吊り、腹部を締め付けない構造のため、マタニティウェアに用いられることもある。

胸当てや腰周りに至るところにポケットがついているが、これらのほとんどは作業着として着る場合において作業の道具を入れるために作られたと言われている。例えば左腰の部分についている紐はハンマーフックと呼ばれ、ハンマーを入れて持ち運べるように作られており、右腰の部分についている縦長のポケットはスケールポケットと呼ばれ、定規を入れて持ち運べるように作られている。なお、サロペットは肩紐が背中で交差されたタイプ(クロス式)のものをいい、現在主流の背中の臀部から肩紐までが一体になっているタイプ(ハイバック式)をオーバーオールと呼ぶのが正しいと言われる。


夏の着こなしヒント満載

イタリアはフィレンツェの街を盛り上げる世界最大のメンズファッションブランド展示会「ピッティウオモ」。世界中から腕に自信アリな洒落者が集うことでも知られ、彼らの着こなしは参考になるものが多い。今回は2019年6月開催の「ピッティウオモ 96」にてキャッチした、注目のストリートスナップを紹介!

ジャケットはネイビー無地でシンプルにまとめながら、ジレとパンツに異なる柄デザインを配置して、新鮮な柄×柄のコーディネートを表現したのは、ピッティでのスナップ常連者として知られるダニエレ・ビアジョーリ氏。柄で存在感を演出しながら随所に無地アイテムを上手に配置することで、街馴染みの良いルックスに仕上げた絶妙なバランス感覚はぜひ参考にしたいところ。ネイビージャケットにグレーパンツというオーソドックスなジャケパンスタイルの、新たな可能性を見出したスタイリングセンスに脱帽だ。

ピエルイジ・ボリオリ氏はTHE GIGIの名作ZIGGYにスニーカーを合わせた十八番スタイルで参戦!
エレガントながらリラックスした新しいアイテムを提案することで、日本はもちろん本国イタリアでも高い人気を誇る「THE GIGI(ザ ジジ)」。そんなジジのオーナーであるピエルイジ・ボリオリ氏は、ブランドの名作ZIGGYのセットアップスーツにスニーカーを合わせたスタイリングを得意としている。ピッティウオモ96では清涼感のある淡いミントグリーンのZIGGYに、レトロな顔立ちがイマっぽいナイキのテイルウィンドを合わせて参戦。同じモデルを着用しながらも毎回新鮮な着こなしで我々を楽しませてくれるあたりは流石だ。

パジーニ氏は注目株の太ピッチストライプをジレ×スラックスのセットアップで取り入れ!
ストライプ柄がトレンドとして盛り上がりを見せる折、ピッティウオモでも多くの洒落者たちが取り入れている姿を確認できた。中でも太ピッチのストライプは特に注目株で、ガブリエレ・パジーニ氏もピッティ中の着こなしに採用。ピンストライプとペンシルストライプを組み合わせたような、変化球の柄が配されたジレ×スラックスのセットアップにネイビー無地のジャケットをミックスした着こなしは、まさにミックススタイルを得意とするパジーニ氏ならでは。G-SHOCK×BAPEのコラボアイテムをさりげなく加えたトリッキーな小物使いもさすがだ。

ブラウン×ホワイトによるラテ色の合わせで軽やかなコーデに上品さを醸す!
夏の大定番アイテムである白Tシャツを使ったラフなカジュアルコーデを上品見えさせるなら、下にブラウンパンツを合わせてラテ色にまとめるのが◎ブラウンによる渋い印象で大人っぽさが演出されるため、白Tシャツのカジュアル感もほどよく抑えられる。ピックアップした御仁は、光沢感のあるブラウンパンツで品をアピールした仕上がりに。現在盛り上がりを見せるコロニアルカラーによるブラウンでイマドキ感をまとえるのも魅力だ。

注目を集める黒使いはザンバルド氏も実践!チェック柄でしっかりとアクセントをつけて表情あるモノトーンコーデに
ブラック使ったコーディネートが注目を集める昨今。ピッティスナップの常連であり毎度数々のメディアから注目を集めるマルコ・ザンバルド氏も、黒をメインに据えた装いを披露していた。黒を主体でコーディネートを組みながらも、リネン製のテーラードジャケットでしっかりと清涼感を出して夏らしさはキープ。インナーはギンガムチェックのシャツを合わせることで、単調になりがちなモノトーンコーデもアクセントのついた表情ある印象に仕上がっている。

ブラウンスーツをダークトーンアイテムで引き締めたモダンなコーデ
百貨店でのオーダー数が好調だったり、各ブランドからの提案が多かったりと、今季とくに注目を集めている「ブラウンスーツ」。着こなしに取り入れるだけで、男の渋みと色気漂うムードを演出できる。そんなブラウンスーツをモダンにこなすなら、ダークトーンのアイテムを合わせるのがオススメ。アースカラー特有の土っぽさをシックに引き締めながら、コーデを新鮮な印象へと導いてくれる。

ワイドレッグのベイカーパンツでジャケパンスタイルを男らしく仕上げ
爽やかなネイビージャケットに組み合わせたのは、ルーズフィットでワーク感強めなベイカーパンツ。裾も太めにロールアップしてカジュアル度を高めつつ、足元にクッションをつくらないことで洗練されたシルエットに。迷彩柄で揃えたポケットチーフと首飾りで男らしいイメージを底上げしながら、ベイカーパンツの色味とリンクさせて精度の高いコーデに仕上げている。

軽快な雰囲気をキープしながら夏のシンプルコーデを刷新するならベストを羽織るのが◎
Tシャツ×スラックスを組み合わせたシンプルなスタイリングもアリだが、時として物足りないと感じる方も少なくないはず。そこでオススメなのが、ピッティ ウオモ会場に集う洒落者たちに多く取り入れられていたベスト。下で取り上げた御仁は、ミリタリー色の強い4ポケットが配されたベストを羽織ることで男らしさと個性をほどよく演出。サングラスやチロリアンシューズでラギッド感を後押しし、普遍的になりがちな夏コーデを巧みに刷新している。

ドレスダウンしたスーツスタイルにチェック柄シャツを腰巻きしてプレッピーなムードに
BEAMSのBrilla per il gustoを勇退し、シンガポールに拠点を移してドレスアイテムを提案していくという高田氏。スウェットとスニーカーでドレスダウンしたスーツスタイルに、チェック柄シャツを腰巻きしてプレッピーなムードを薫らせたコーデでお目見えした。ブラウンとホワイトの落ち着いた色味で構成した中に赤色が映え、スパイスとして功を奏している。

カジュアルなジャケパンコーデにグラデーションを組み込んでこなれ感たっぷりに!
アンコンスタイルを得意とするイタリアのブランドL.B.M.1911の柔らかなジャケットに白Tシャツを合わせて、エフォートレスなジャケットスタイルを表現。さらに、ダークネイビーのジャケットと明るいネイビーのスラックスを組み合わせることで、グラデーションを効かせてよりこなれた印象に仕上げている。カジュアルなジャケパンコーデの足元には革靴デザインのほどよく上品なスニーカーが似合う。

ベルトレスを取り入れて絶妙にエフォートレスなムードをまとったフランコ氏のスーツスタイル
ソリッドな印象のグレースーツに身を包んで参戦したピッティ ウオモ常連者のフランコ氏。一見するとシンプルなスーツスタイルだが、良く見るとベルトレスタイプをチョイスしておりエフォートレスなムードをまとっている。その時々のトレンドを活かしたドレススタイルを得意とする同氏ならではの着こなしに脱帽だ。

抜け感を演出した着こなしも襟付きアイテムを取り入れればやり過ぎ感なく仕上がる
ドレススタイルにおけるシャツはもちろんのこと、カジュアルコーデにおいても開襟シャツやポロシャツなど襟付きのアイテムを取り入れた着こなしが多く見受けられたピッティ ウオモ96。こちらの御仁は、ゆったりとした長袖のポロシャツをボタン全開けでスキッパーライクにこなして抜け感を演出。襟付きできちんと感がそもそも備わっているため、Too Muchに感じないのが嬉しい魅力だ。

ストイックなグレースーツコーデは、Vゾーンで華やぎを
ナポリの新星「ティト アレグレット」氏の最新ピッティコーデを紹介。ストイックなグレースーツを身に纏い、ロンドンストライプシャツ、小紋柄のタイをVゾーンにセットして、メリハリのあるVゾーンを表現している。良い意味で主張しない無地スーツは、Vゾーンで大胆に遊んでもサマになるポテンシャルの高さが魅力だ。いやらしさを出さずに、迫力や存在感をスーツスタイルに持たせたいとお考えの貴兄はぜひ、こんなコーデを参考にしてみてはいかがだろうか。

あえてベルトをしないことで夏コーデを抜け感たっぷりに!
ベルトレスパンツを着用した御仁が多く見られたピッティ ウオモ96だが、中にはあえてベルトを通さず太シルエットのパンツを穿きこなす洒落者の姿も散見された。昨今の潮流であるコンフォートな気分をまさに体現しており、自然とリラックスしたムードが漂う仕上がりに。Tシャツの袖・パンツの裾のロールアップやタックインしたこなしによってこなれ感を演出し、シンプルな組み合わせながらアンニュイさを感じさせないスタイリングにまとめている。

ネイビースーツコーデはほんのりトーンアップさせて夏顔に
ビジネスパーソンにとって欠かせない定番アイテムである「ネイビースーツ」。夏に取り入れるなら、濃紺よりもワントーンアップした青のスーツをチョイスしてみてはいかがだろうか。いつものスーツスタイルを、より清涼感&季節感溢れる印象に仕上げられる。ドレスアイテムのこなれた着こなしに定評のあるマルコ氏は、そんなブルーネイビースーツをノータイで取り入れ。白シャツの爽やかな雰囲気と絶妙にマッチした開放感のあるスタイリングにキマっている。

迷彩柄のオッドジレを差し込んでジャケパンコーデにヒネりをきかせる!
オリーブグリーンのブレザーの土っぽさをホワイトジーンズで払拭したジャケパンコーデ。インナーには迷彩柄で襟付きの個性的なオッドジレをレイヤードし、ヒネりのきいた仕上がりに。スタッズが打ち込まれた装飾性の高いキルトモンクシューズで只者じゃない感を漂わせている。

ダッド要素をふんだんに取り入れてモードライクにこなしたコーデ
ルーズフィットのTシャツとチノパンでボックスシルエットにまとめ、足元にチャンキーなルックスのダッドシューズを組み合わせてモードライクに。Tシャツをタックインして露わにした腰元には、幅広ベルトをセットしてダッド感をより強く打ち出している。そんなコーデながら野暮ったさがToo Muchに感じないのは、チノパンに配されたセンタークリースによって上品さが演出されているため。細部にまで配慮した抜け目ないスタイリングに仕上がっている。

柄シャツの遊び心をキレイ目に整えるパンツをチョイスしてコーデを格上げ!
リゾート気分やイマどきなアクセントをプラスできる反面、小僧な印象を与える恐れもある「柄シャツ」。大人っぽく着こなすなら、洗練されたシルエットのパンツで印象を整えるのがお約束だ。変にシワが出ない、身体に馴染むようなシルエットの無地パンツなら、トップスが派手でも下品な印象を相手に与える心配は無くなるハズ。こちらの御仁のように、スニーカーとトップスの色味をリンクさせれば、コーデの完成度はより一層高まること間違いなしだ。

アメトラ人気で注目を集めるブレザー。ダブルブレストならカジュアルなジャケパンコーデもシックかつエレガントに
アメトラ人気の流れで多くのブランドがブレザーを提案している今日この頃、ピッティウオモでもコーディネートに取り入れている御仁の姿が散見された。一口にブレザーと言ってもシングル・ダブルの違いによってもその印象は別物だ。トラッドでスポーティーなシングルタイプのブレザーに対して、ダブルのブレザーなら、Tシャツに白パンツを合わせたカジュアルなスタイリングもどこかシックでエレガントな雰囲気に。

頭のてっぺんからつま先まで、全てのアイテムを黒ベースで仕上げた洗練スタイルは、夏コーデをシックにキメる有効手段。さらに+αのスパイスをきかせるなら、ベルトに着目してみるのがオススメだ。下の御仁は、そんな黒コーデ+αの好例。腰元にヘロンプレストンのロングベルトをセットして、夏の日差しに映えるオレンジのスパイスをきかせている。「PULL」のタブが施されたバックルによるストリート感覚のアクセントも遊び心があって◎

ペールトーンやニュートラルカラーといった優しい色味がトレンドの今、夏らしさ満点の白パンツを穿けば季節感もイマっぽさも両得できるから嬉しい。加えて、トップスに合わせたアイテムのデザイン性を強調したいときにも使える名脇役だ。フィールド迷彩柄のシャツジャケットをチョイスした御仁のコーデもご覧の通り。夏コーデの爽やかさをキープしたまま、存在感バツグンに仕上がっているのがお分かりになるハズだ。


メンズコレ取材チームが好き勝手に語る2020年春夏レビュー

2020年春夏シーズンのメンズコレクションを取材する記者2人が、見たまま感じたままにコレクションをレビューします。先輩記者Mは15年間メンズコレクションを見続けてきたベテラン、後輩記者Oは取材歴3年目。時には甘く時には辛口に、それぞれの視点で最新コレクションを語り合います。

ミラノメンズ最終日の「フェンディ(FENDI)」は、朝イチの公園が気持ちよかったね。お土産のバスケットに詰まったパンも美味しかった。朝ゴハンで、パン3つも食べたのに(笑)。

朝からすごい食べますね(笑)。僕はパッキングがギリギリになってしまって朝食を食べられなかったのでめっちゃ助かりました。アテンドするスタッフも全員つなぎを着ていてかわいかった。「フェンディ」は毎シーズン大掛かりなセットを組んだり、ゲストを呼んだりと“バズる”演出で楽しませてくれていたので、今回は意外なロケーションでした。

2020年春夏は、ガーデニング男子を思い描いたんだって。ということで、ショー会場は屋外の公園。ファーストルックもつなぎだったね。ブランドにとってアイコニックなストライプ“ペカン”のバスケットに、“FF”ロゴのガーデニングブーツの組み合わせ。このブーツは、日本のシューズメーカー、ムーンスターとのコラボレーション。ヴァルカナイズ製法のブーツなんだって。野暮ったいデニムとか、異素材を組み合わせたドンキージャケットにカーゴパンツなど、休日の気取らないスタイルに可愛らしさを潜めていて、心に染み入りました。ハッとするんじゃなくって、ジンワリするカンジ(笑)。

へぇームーンスターとのコラボですか。でも何だか納得です。それとほとんど全てのアイテムがブラウンやカーキ系のアースカラーだったのも印象的でした。アースカラーってつい重たくなりがちですけど、シアー素材のジャケットやコート、優しいタッチのボタニカル柄が軽やかで、見ているだけでも気持ちよかったです。今シーズンは環境問題と向き合う姿勢をコレクションで表現するデザイナーがすごく多いですが、「フェンディ」も「自然と共に生きていこう」というメッセージが感じられました。

たしかに再生ポリエステルやウールを使った「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」や、過去のコレクションをRe-Coup(回収)、Re-Cycle(再利用)した「マルニ(MARNI)」、ポジティブに生きることを訴えた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」を筆頭に、地球環境に向き合ったブランドが多いよね。ポイントは、シリアスな問題をどれだけ“自分ごと化”させて、頭で理解するのではなく、心で共感するメッセージに変えられるか?ということ。今シーズン、デザイナーはその技量が試された気がします。みんな地球がヤバくて、ファッションが負荷をかけていることは分かっているけど、だからって堅苦しい洋服、ハッピーじゃない洋服、ガマンを強いられるは着たくない。多少高くてもいいから、難しい問題を“自分ごと化”している、共感できる洋服に袖を通したい。そんな風に思い始めた中で、それをどうやって成し遂げるか?これが今シーズンのミラノメンズの優劣を決めたよね。その意味で「フェンディ」は、“ほっこり”ガーデニングっていう、誰もが“自分ごと化”できて共感できる角度から地球のことを考えた。ミラノメンズの「勝ち組」だね。

派手にランウエイショーを行っているだけではなく、スーツが主軸の「コルネリアーニ(CORNELIANI)」も展示会で天然素材と染料を使用したサステイナビリティーを意識した若々しいスタイルの新ラインを発表していましたし、ファッション業界全体が真剣に考えようとしているのは間違いありませんね。でも、やっぱりMさんの言う“自分ごと化”できるかという視点で見ると、「フェンディ」が個人的に一番すんなり入ってきました。服以外でも、バスケット型のバッグや巨大ジョウロなどの小物類もキャッチーでかわいかったです。

ジョウロは売らないと思うけどね(笑)。アクセサリーでは、メンズサイズでちょっと大きな“バゲット”が出てきたね。小さなスクエアバッグからビッグトートまで、素材も雑材からファーの編み込みまでバリエーション豊か。個人的には、FFロゴをエンボスしたスエードのハイカットスニーカーがオトナっぽくて好きでした。

僕は小物だとボタニカル柄のトートバッグが素敵だなと思いました。それとジャケットにひざ丈のロングシャツを合わせていたルックも好きでした。テーラリングがベースなんですけど、の力が抜けてとてもきれいだったので真似してみたいです。1月の2019-20年秋冬コレクションではこういう新しいフォーマルを提案するブランドがたくさんありましたけど、20年春夏のミラノメンズはまだまだストリートが強い印象でした。パリメンズではどんなスタイルが出てくるのか今から楽しみです!


トップ ニュース 「マイケル・コース」を擁するカプリ 18年度は増収減益 前の記事 ニュース 次の記事 「マイケル・コース」を擁するカプリ 18年度は増収減益

「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」を擁するカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の2019年3月期決算は、売上高が前期比13.8%増の52億3800万ドル(約5709億円)、純利益が同8.4%減の5億4200万ドル(約590億円)の増収減益だった。

ブランド別の売上高では、ロゴを改め、人気モデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)をキャンペーンに起用して若年層に訴求した「ジミー チュウ」が南北アメリカ、欧州・中東・アフリカ、そしてアジアの全地域で売り上げを伸ばし、同164.5%増の5億9000万ドル(約643億円)と大幅な増収となった。主力の「マイケル・コース」は各地域ともほぼ横ばいで、同0.3%増の45億1100万ドル(約4916億円)だった。18年12月31日に買収が完了した「ヴェルサーチェ」は、19年1~2月に1億3700万ドル(約149億円)の売り上げを上げたものの、1100万ドル(約11億円)の営業損失を出している。なお、同社は「ヴェルサーチェ」については1カ月ずらして計上するとしている。

ジョン・アイドル(John Idol)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「18年度は変化の年だった。『ヴェルサーチェ』を傘下に収め、ラグジュアリーファッション部門を拡大した。『ジミー チュウ』は力強い成長を見せている。『マイケル・コース』は成長戦略の柱である商品改革、ブランドエンゲージメントの向上、顧客体験の改善を引き続き行った」と語った。また、「減益は主に卸の不調と、北米事業の減速によるものだ。北米市場におけるアクセサリー類の売り上げが伸びる兆しはないが、その分ヨーロッパとアジアが成長しているため、営業利益率は安定している」と説明した。

同氏はまた、「ウィメンズウエアとフットウエアもいっそう拡大したい。一方、メンズ事業も軌道に乗ってきたので、何もかもウィメンズでやらなければという重圧はなくなってきた」とコメントした。「最近は小さいバッグの人気が小売りのエンジンとなっており、手が届く価格帯のブランドだけではなく、ラグジュアリーブランドでもその傾向がある。『ヴェルサーチェ』と『ジミー チュウ』でも、995ドル~1395ドル(約10万8000~15万2000円)程度のバッグが好調で、『マイケル・コース』のコレクション・ラインでも同様だ」とし、「今後の発展に向け、当社は非常にいいポジションにあると思う」と展望を述べた。


バーバリー、18年度は前年並み ティッシ効果は19年度に

バーバリー(BURBERRY)の2019年3月期決算は、売上高が前期比0.4%減の27億2000万ポンド(約3808億円)、営業利益は同6.5%増の4億3700万ポンド(約611億円)、純利益が同15.4%増の3億3910万ポンド(約474億円)だった。なお、コティ(COTY)とライセンス契約を締結しているビューティ事業を除いた売上高は同2.2%増だった。

ビューティ事業を除いた地域別では、アジア太平洋地域の売上高が同2.1%増の11億400万ポンド(約1545億円)、欧州・中東・インド・アフリカは同2.1%増の9億5800万ポンド(約1341億円)、南北アメリカは0.1%増の6億1200万ポンド(約856億円)だった。既存店売上高は、いずれの地域も1~2%程度の成長率だった。下期は中国本土での売り上げが伸びているが、これは中国政府による輸入税率引き下げの影響で、中国の消費者が旅行先ではなく国内でより多く買い物をするようになったためだ。その分、旅行先だった日本や香港の売り上げが減少している。

同社は新戦略を打ち出すなど転換期のただ中にあるが、その一環として80店程度を改装するほか、より小規模な38店を19年度中に閉店する。なお、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)=チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のコレクションは非常に好評で、前期比で2ケタ台の成長率を見せているという。

マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)は、「コスト削減などが順調に進んでおり、結果に満足している。リカルドによる製品が店頭に並んだのは19年2月頃からで、それもコレクションの10~15%程度だったため、その効果は今期の売り上げにまだほとんど反映されていない」と語った。なお、バッグ類は旧コレクションの売り上げ減速が業績に響いたが、ティッシCCOのコレクションが増加するにつれて持ち直すものと見られている。

ジュリー・ブラウン(Julie Brown)最高執行責任者兼財務責任者は、「改装された店舗にリカルドの製品が並び、さらに素晴らしい顧客体験を提供できるようになった」と述べた。

激しさを増している米中貿易摩擦について、ゴベッティCEOは、「当社は製品の多くをイギリスとヨーロッパで生産しているため、調達面での影響はほとんどない。懸念があるとすれば、何らかの理由で中国の消費者による購買意欲が低下することぐらいなので、それが引き続き旺盛であることを願っている。米中貿易協議は今後も山あり谷ありで続けられるだろうが、両国とも落としどころを探っていると思う」とコメントした。


「モンクレール ジーニアス」が毎週主役を変えるポップアップ

モンクレール Tシャツ コピー(MONCLER)」とクリエイターのコラボコレクション「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」は10月5日、8つのコレクションに週替わりでフォーカスするポップアップストア「ハウス オブ ジーニアス」を東京とニューヨークにオープンする。東京は、南青山の元「ケイト・スペード ニューヨーク」跡地。トップバッターはポップアップストア出現と同時に発売となる、フランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)「モンクレール」アートディレクターによる「8 モンクレール パーム エンジェルス」だ。

「モンクレール ジーニアス」は、時代の潮流である多様性にフォーカスし、藤原ヒロシ、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の二宮啓らさまざまなトップクリエーターと組むことで、バラエティーに富んだ洋服やスタイルを生み出している。南青山にオープンする「ハウス オブ ジーニアス 東京」も、一つのブランドのブティックであるにも関わらずコレクションごとに個別スペースを設けるなど、まるでセレクトショップのような新しい形態の店舗となる。

内装は「モンクレール ジーニアス」のファースト・コレクションを発表したミラノのプレゼンテーション会場をイメージ。12月末までに全コレクションに週替わりでフォーカスし、そのたびに商品を先行販売したり、限定アイテムを発売したりするほか、ポップアップ限定の「ザ・イエロー コレクション(THE YELLOW COLLECTION)」をローンチする。

「ザ・イエロー コレクション」は、「モンクレール ジーニアス」のキーカラーであるブラックとイエローのTシャツやビーニー、ボディーバッグのほか、ステーショナリーやiPhoneケースなども用意する。2本380円の鉛筆など、ダウンが買えない人でも、楽しめるポップアップだ。


「ヴァレクストラ」CEOが語る 伊勢丹ザ・ステージをスモークに包んだ理由

ミラノ発レザーグッズブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」のポップアップイベント「ヴァレクストラ メトロポリス」が4月に伊勢丹新宿本店ザ・ステージで開催され、このイベントのためにサラ・フェレロ(Sara Ferrero)=ヴァレクストラ最高経営責任者(CEO)が来日した。彼女とは、4月前半にミラノで開催されたデザインの祭典「ミラノサローネ2019(MILANO SALONE以下、サローネ)」で会ったばかりだ。「サローネ」では、イギリス人建築家のジョン・ポーソン(John Pawson)がリニューアルを手掛けたミラノ本店を披露した。フェレロCEOは「東京でポップアップがスタートするから、それに合わせて家族と来日し、富士山や京都にも行くつもり」と興奮した表情で話していた。

フェレロCEOが「ヴァレクストラ」CEOに就任したのは2015年。それ以降、売り上げが就任当時の4倍になったという。彼女は大学でビジネスを学んだ後にMBAを取得し、金融コンサルティング企業のマッキンゼーでキャリアをスタート。その後、「フルラ(FURLA)」や「ジョゼフ(JOSEPH)」などで要職を務めたということで、彼女の経営手腕はもちろんのこと、ブランディングに効果的なコラボなどの人選やネットワークづくりもさすがだ。

昨年は、ミラノ本店のインスタレーションを手掛けた隈研吾との数時間のミーティングのためだけに来日するなど必要であればトンボ返りでも自ら現地に足を運ぶ。ブランドに対する情熱も相当なものだ。ブランドを発信するために協業するアーティストや建築家の選定も自ら行い、直接交渉する。選定するクリエイターもポーソンや隈のような大物から、気鋭のイギリス人若手アーティストのベサン・ローラ・ウッド(Bethan Laure Wood)までそうそうたる面々だ。CEOであり、妻であり、2児の母でもある彼女に、ポップアップやコラボレーションなどについて話を聞いた。

今回のポップアップショップのコンセプトは?

ジャコモ・ムーア(Giacomo Moore)の家具やニューヨークの蜃気楼がイメージソース。それをもとにムードボードを作ったの。蜃気楼と雲のシュールな空間にしたかった。バッグのシリーズごとに展示を区分けしているから、街を歩いているような感覚でショップを楽しんでもらいたい。あくまでも主役はバッグだけど。

WWD:今回は“セリエ エス”やスニーカーも登場したが?

“セリエ エス(SERIES)”は1960~70年代のイタリアのデザインを象徴した有機的でフェミニンなラインが特徴。当時は「オリベッティ(OLIVETTI)」のタイプライターなど全てが丸みを帯びたデザインだった。バッグの脇にはまるでえくぼのようなくぼみがあるのもポイントよ。スニーカーはミラノとロンドン、北京、東京で販売する。防弾チョッキに使用される丈夫な素材を使用した“ケイ ヴァル”バッグは日本限定で、仕事やジム用、旅行といろいろな用途があるから重宝すると思うわ。

下からスモークが出てきたが?

雲の雰囲気が出るでしょう。スモークがこのポップアップを特別なものにしてくれる。通常、この場所でスモークを使うことはできないけど、伊勢丹新宿本店は特例をつくってくれた。本当に感謝しているわ。これから店頭で、来てくれた日本人とコミュニケーションをとるつもり。とてもワクワクしているわ。日本人がどのような形や色を好むか理解したいから。

ずいぶん凝ったセットだが?

イタリアで制作して日本に送った。この設営は今朝3時から取り掛かって6時に完成したわ。商品のストックが置ける棚もあるしシートもある。ザ・ステージの場所は人通りが多いから、その喧噪を忘れるような快適な空間にしたつもりよ。女性だからついついいろんなことを考えて、期間限定のブティックでも“収納”や“シート”などと欲張りになるのよね。

ザ・ステージ終了後はどうするか?

再利用するつもりよ。海外の別の百貨店で使うかもしれないし、アレンジしてオフィスで使うかもしれない。昨年のミラノ本店の隈氏のインスタレーションだって、50%以上をアーティストや友人に販売したわ。テーブルの30%はオフィスで使用している。残りはアーカイブとして残したり、アップサイクルしたりして使うつもり。

販売する理由は?

無償で提供したらありがたみが分からないじゃない。とにかく、インスタレーションなどに使用した全てのものは、販売するか再利用して無駄にはしない。

「ヴァレクストラ」のフィロソフィーは?

1937年に設立されたブランドで、高品質でタイムレスであること。あと、カラフルで洗練されている点。50年代にデザインされたバッグが今でもベストセラーよ。半年ごとに替わるようなバッグじゃないの。毎日使えるし、長年使える。だから投資しても、毎シーズンバッグを買い替えるよりはずっといい。新商品に関してもタイムレスでずっと使えるものでなければならない。だから、シーズンごとに新作を出したりしない。じっくりとそのコンセプトに合っているかどうかを考えた上で、出せる時に出すというスタンスよ。

多くのラグジュアリーブランドとどのように戦うか?

「ヴァレクストラ」がどのようなブランドか、どのような価値があるのか、なぜ「ヴァレクストラ」なのかという点をいろいろな方法を使って伝えていくしかない。「ヴァレクストラ」がクリエイティブなブランドであることは気付いてもらえている。これからは、いろいろなストーリーを通じて、顧客予備軍にファンになってもらいたい。「ヴァレクストラ」は持つ人を引き立ててくれるバッグよ。主張せずにその人のスタイルを完成させる、それが「ヴァレクストラ」のバッグなの。


ビームス新井バイヤーに聞く「ポロ ラルフ ローレン」別注の裏側

ビームスは4月20日、「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN以下、ポロ)」に別注したキャップ(1万円)とショーツ(1万4000円)をビームス各店で発売する。「ポロ」ではこれまでになかった、全てのパネルのカラーが違う多色使いのクレイジーパターンで、それぞれのパネルに「ポロ」のアイコニックなポニーの刺しゅうを施す。仕掛けたのは「ポロ」を愛してやまないビームスの新井伸吾バイヤーだ。“ポロ愛”で実現したという別注誕生の裏側を聞いた。

新井バイヤーは「ポロ」のビンテージコレクターと聞きました。そもそも「ポロ」を好きになったきっかけは?

新井伸吾バイヤー(以下、新井):両親がアパレル会社に勤務していたこともあって、小さい頃から洋服に触れる機会は多かったんです。14歳の時にテニスでNYにホームステイする機会があり、その時出会った人たちが柄シャツや“92”と書いたシャツを着ていました。テニスウエアって色合わせとかを全身でマッチングさせるんですけど、その時のその格好が全身でファッションを楽しむという感じで憧れました。後に、かっこいいと思った柄シャツや“92”と書いたシャツが「ポロ」のモノだと分かって。帰国してからも雑誌とかで勉強したり。それが「ポロ」を好きになった始まりです。

今回の企画はどのようにして生まれたのですか?

2017年からビームスメンズバイヤーを担当しているのですが、NYの「ポロ」の本社に行く機会をもらえました。それは次のシーズンのモノを見られる展示会なんですけど、「手ぶらでは帰れない」と思っていたので、いつも私物の「ポロ」のビンテージを着て行くようにしていたんです。3回目の時にたまたまロビーで「ポロ」のスタッフに「どうしてそれを着ているの?」と写真を撮られて。実はその時、写真を撮った人がMDのトップの方で、僕の着ていたビンテージが次のシーズンの復刻商材だったみたいなんです。それで、一気にお近づきに成功したというか、やっと「ポロ」愛が伝わった。実は、1回目からプレゼンシートは持って行っていたんですが、3回目にしてチャンスをもらうことができました。

ビームスとしてはコラボや別注に関してどう考えていますか?

ブランドはロゴがありますが、ビームスはセレクトショップなので、ロゴが得意なわけではありません。だから僕はビームスの色を出さなければならないと考えています。今回の別注に関して言えば、ビームス=クレイジーパターンだった。だから表から見たらどこにも“ビームス”とは書いていませんが、配色だったりパターンだったりを見て、ビームスっぽいねと思ってもらえればいいなと思っています。

今回のデザインコンセプトは?

やはりクレイジーパターンです。“パネル使い”にフォーカスして、4面全てのカラーを変えたかった。「ポロ」の本社に行くと、色々な生地が積まれているので、その中にある生地から「少し落ち着いた色」や「少し柔らかい色」みたいなリクエストを出しつつ、キャッチボールを重ねていきました。「各パネルにポニーの刺しゅうを入れたい」とリクエストしたのですが、「ポロ」側のアイデアで、左右上下非対称な位置に刺しゅうを入れることなって。こんなクレイジーな仕様が許されるのかとびっくりしました。「ポロ」とビームス両方のアイデンティティーが混ざりあって完成したアイテムです。

これまでの個人的な「ポロ」のエピソードはありますか?

僕は「ポロ」をビンテージショップでも買いますが、いわゆるリサイクルショップとかスリフトストアとかでも探していて、掘り出しモノを見つけるのが好きですね。だから高いお金を出して買ったモノもあれば、1000円で買ったモノもあるし、トレードもあります。今回の企画のきっかけとなったNYでは、「リビエラ」というシャツを着ていました。ビンテージポロ界では通称名で呼ばれることが多くて、他にも「テニスマン」や「ウィングフット」「Pウィング」「92」「93」とか世界共通で会話が成立するんです。日本企画やアメリカ企画もあって、製造国、モデル、程度、サイズとか、いろんな角度から話が盛り上がります。

今後の「ポロ」との予定は?

大好きな「ポロ」に別注できて、夢がかなったといえばそうなんですけど、夢のまた夢みたいなものが生まれきたというか。これで終わりたくないので、可能な限り続けていきたいと思っています。


バロックジャパン19年2月期は中国事業が前年割れ国内はプロパー販売強化で利益改善

バロックジャパンリミテッド2019年2月期の連結業績は、売上高が710億円、営業利益が47億円、純利益が29億円だった。当期は決算期を1月期から2月期に変更しており、18年2月~19年2月までの13カ月決算となる。参考として、18年2月~19年1月の12カ月で比較すると、売上高が前年同期比0.3%減の679億円、営業利益が同82.9%増の46億円、純利益は同146.5%増の30億円だった。国内事業の立て直しが進みつつあるが、一方でこれまで成長のドライバーだった中国事業が減速している。

国内売上高は633億円。18年2月~19年1月では同1.0%増の598億円だった。「マウジー(MOUSSY)」「エンフォルド(ENFOLD)」「スタッカート(STACCATO)」などがけん引したものの、主力のSC向け「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」などが暖冬や冬物のセール不振により苦戦。SC向けブランドの売上高は、12カ月対比で同4.8%減となった。

ECを含む国内の既存店売上高は、13カ月対比で前年同期比2.0%減。ただし、この間売上高よりも利益重視の経営を進めており、特にセール月である6月や1月のプロパー販売を強化してきた。それにより、既存店客数は13カ月対比で同8.8%減と落としたものの、既存店客単価は同7.5%増となった。国内売り上げの売上総利益率も、12カ月対比で2.6ポイント改善して59.6%となった。

中国の小売り、ベル・インターナショナルとの合弁で運営する中国事業は、卸売上高が円ベースの13カ月対比で前年同期比8.4%減。小売りは「下期にペースダウンするも、前年実績を超えた」が、全体としては「前年を下回る結果となった」。人材確保の難しさや中国の景況感の悪化、前年まで好調だった中国限定のアウターが苦戦したことなどが要因という。19年2月末の中国店舗数は249。出店は48と計画通りだったが、退店が26と「想定を上回り、純増ペースが鈍化した」。

20年2月期の見通しは、売上高で前期比0.3%増の679億円、営業利益で同0.2%減の46億円。営業減益は広告宣伝費の増加や新店改装などを見込んでいるため。


コメ兵がAIで高級ブランド製品の真贋判定 フリマアプリなど外部にも提供検討

リユース大手のコメ兵は、AI(人工知能)を活用し、高級ブランドの真贋を判定する。すでに自社でソフトウエアを開発、現在試験的に「ルイ・ヴィトン」の判定を行っており、真贋正答率は97%に達しているという。今春にも店頭でのテスト導入し、いずれは全店舗に広げる考え。開発を担った山内祐也・執行役員事業開発部長に直撃した。

製品の複数箇所をマイクロスコープで撮影、その情報をクラウドに上げて独自に開発したAIが分析する。現在検査しているのは「ルイ・ヴィトン」のみだが、真贋の正答率は97%。今後は99%を目指している。

実用化はいつになるのか?

今春にも一部の店舗にテスト導入する。ブランドも「エルメス(HERMES)」「グッチ(GUCCI)」「シャネル(CHANEL)」「プラダ(PRADA)」などに広げる。半年ほどのテスト導入を経て、導入のスピード感などは未定だが、いずれは全国の「コメ兵」全35店舗に導入する予定だ。

AI導入の背景は?

3つある。1つ目が非常に優秀なエンジニアを幸いにもチームに迎い入れられたこと。2つ目は当社の真贋の“匠”の存在、3つ目が豊富な商品データを当社が持っていることだ。コメ兵は年間140万点の商品を扱っており、買い取り後に全商品を名古屋市内で検品・判定を行う商品センターに一度集約している。この物流拠点でAI判定に使うデータのための撮影などを行っており、そのことが精度の高さにつながっている。

また、昨今は人気の高級ブランドでは偽物のクオリティが非常に上がっている。当社は真贋を見極める目利きなどで5重のチェック体制を敷いているが、いずれはプロでも人の目だけでは見抜けない製品も出てくる可能性がある。今回AIなどの最新テクノロジーを導入することで、素材のテキスタイルやパーツそのものを判定できるようにもなった。仮に見た目や触感は一緒でも、実はテキスタイルの組織や糸が違えば真贋を判定できる。極端に言えば、糸一本でも本物と違うものが使われていれば、真贋を判定できる。このAI判定を機に、“リユーステック”という新しい概念を提唱したい。

“リユーステック”とは?

フリマアプリ「メルカリ」を筆頭に、リユース市場は拡大しつつ、これまでよりさらに身近な存在になるなど新たな局面も迎えている。商品のフィジカルな物流とテクノロジーを組み合わせることで、リユース市場をより活性化できる手応えを感じている。今回のAI判定は当社だけの活用にとどまらず、「メルカリ」などの、実際にはフィジカルな真贋判定の難しい外部のECプラットフォームへの提供も検討している。ECプラットフォームも独自のテクノロジーを活用し、真贋判定の開発を行っていると見られ、そうした多種多様な技術を“リユーステック”と定義することで、企業や業界の枠を超えた交流や連携を目指したい。


ヒューゴ ボスがパイナップル由来の人工レザースニーカーを発売

ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)が手掛けるメンズブランド「ボス(BOSS)」は6月下旬、動物を殺さないビーガンフレンドリーで環境負荷も少ないスニーカーを発売する。ロンドンに拠点を置くスタートアップ企業のアナナス・アナム(ANANAS ANAM)が7年をかけて開発した、パイナップルの葉を破砕して作るレザーに似た天然の不織布「ピニャテックス(PNATEX)」をアッパーに採用した。「ピニャテックス」は通常のレザーに比べると、軽くて柔らかく、耐久性や通気性もあるという。また、抗菌性にも優れ、水に濡れても手入れがしやすいのが特徴だ。長く使用すると味が出るレザーに比べると経年変化は楽しめないが、アウトドアシーンなど傷や汚れを気にせず日常使いしたい人にとっては手入れの必要が少ない。

色はブラックとブラウンの2色展開で、いずれも天然の植物で染めている。シューレースはオーガニックコットン、ソールにはリサイクルTPU(熱可塑性ポリウレタン)を用いた。価格は3万8000円。

ヒューゴ ボスは衣類のために動物を殺さないサステイナブルなモノ作りに取り組んでおり、2016-17年秋冬シーズンから、ラクーン、フォックス、レッドラビットなどの毛皮の使用を廃止した。また牛革や羊、バッファローレザーに関しても食用となったものを使用している。


「ゴールデン・グローブ賞」授賞式のレディー・ガガ 「ティファニー」の100カラットダイヤモンドネックレスを着用

1月7日に開催された第76回「ゴールデン・グローブ賞(GOLDEN GLOBES)」の授賞式に、映画「アリー/スター誕生(A Star Is Born)」で主演したレディー・ガガ(Lady Gaga)が「ティファニー(TIFFANY)」の“オーロラ ネックレス”を身に着けて参加した。職人たちがレディー・ガガのために制作したというネックレスは、20カラットのペアシェイプのダイヤモンドをはじめ、300石を超えるブリリアントダイヤモンドが輝いた。さらに、12カラットのダイヤモンドをさまざまなカットであしらったデザインが特徴のブレスレットやダイヤモンドのピアスなどを着用し、ラベンダーカラーの「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のオフショルダードレスに合わせたスタイリングはレッドカーペットで一際存在感を放った。

スタイリストのサンドラ・アマドール(Sandra Amador)とトム・エレバウト(Tom Erebout)は特注のネックレスについて「彼女のドレスの堂々とした威厳ある雰囲気が見事に捉えられている。レディー・ガガにとって今シーズン初の大舞台となるこの特別な瞬間のために、ジュエリーとドレスが共鳴し合うスタイルに仕上げたいと考えた。『アリー/スター誕生』での演技を祝福するにふさわしい逸品と言えるのではないか」と話した。

「ティファニー」のリード・クラッコフ(Reed Krackoff)=チーフ・アーティスティック・オフィサーは、「『ゴールデン・グローブ賞』授賞式で、私たちの友人であり、ブランドと同じニューヨーク出身のレディー・ガガのジュエリーを担当するという栄誉に浴したことを、非常にうれしく思う。彼女は明確なビジョンを持ってクリエイティビティーとアイコニックなスタイルを体現する真のアーティストだ」とレディー・ガガを称えた。


マッシュの「セルフォード」が出店拡大 デイリー軸での訴求も強化

マッシュスタイルラボの「セルフォード(CELFORD)」がこの春、出店を加速させる。2018年2月のルミネ新宿1への1号店出店から1年がたち、百貨店を中心に全国で8店舗を展開。19年2月に神戸大丸店、3月に三越銀座店、高島屋横浜店、高島屋玉川店、西武池袋本店、三井アウトレットパーク木更津、に6店舗をオープンし、計14店舗体制を作る。

「セルフォード」は30代以上の大人の女性がターゲットで、オケージョン向けの上品なデザインのドレスワンピース、ジャケット・スカートのセットアップなどが売れ筋。前田祐子チーフプレスは「ドラマでの出演者の着用などが追い風となり、立ち上げから勢いよく売れた」と話す。

18年は春夏・秋冬通じて予算比120%強で推移した。好調要因は「リーズナブルでかつ上質に見えるオンシーン向けの服が欲しいという女性のニーズをうまく取り込めたこと」(前田チーフプレス)。群馬・桐生や愛知・尾州など国内産地の生地をオリジナルで作ったり、ウォッシャブルなどの機能素材を使ったりというような凝った商品を、1~3万円台の比較的値ごろな価格で提供することで客の心をつかんだ。前田チーフプレスは「卒入園式に臨む若いママさんから4~50代の大人の女性まで、リーズナブルでいいドレスなら『セルフォード』と思ってくれている顧客がすでにたくさんいる」と手応えを話す。

出店で拠点を増やし認知拡大を図る一方で、「今は顧客と『セルフォード』をつなぐ線はオケージョン向けのアイテムが中心。デイリーシーンにも対応できるアイテムを別軸で強化し、オンでもオフでも頼られるブランドを目指す」。今期は従来の白、ベージュ、ネイビー、グレーが多くを占めていたカラーパレットに、カジュアル使いしやすいグリーン、オレンジ、ブルーといった色のアイテムを投入。ダリアのブーケをモチーフにした花柄のブラウスや夏の野花をイメージしたボタニカルな雰囲気のシフォンワンピースなど、上品に着られる柄物のアイテムもラインアップする。

なお、3月にオープンする新店舗および公式オンラインストアでは、人気アイテムの“オリジナルチューリップレーススカート”(1万8000円)をそれぞれの店舗の限定カラーで販売するほか、2万円以上の購入者にオリジナルファブリックソフナーをプレゼントする。


「サンローラン」の来場者はエッフェル塔と共にギラギラ輝く

サンローラン(SAINT LAURENT)」のウィメンズのファッションショーは、4シーズン連続でパリのランドマークであるエッフェル塔を望むトロカデロ広場に建てられた巨大な特設会場で行われている。今季も夜8時にエッフェル塔がキラキラとライトアップする時間に合わせ、7時45分には会場に入るためのゲートを完全にクローズする体制。エッフェル塔のライトアップで建物のシルバーの外壁が鏡のように反射して幻想的に輝いた。

巨大な会場はキャパシティーも大きく、世界中からバイヤーやスタイリスト、プレス関係者からセレブリティー、ブランドの顧客まで数百人が集まった。フロントローには大御所モデルのケイト・モス(Kate Moss)をはじめ、女優のカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)やブランドの広告にも登場した映画監督のヴィンセント・ギャロ(Vincent Gallo)ら常連客が並ぶ。また映画「くるみ割り人形と秘密の王国」で主人公のクララを演じた女優のマッケンジー・フォイ(Mackenzie Foy)ら新世代のセレブたちの姿もあった。会場内ではショー開始寸前までセレブの写真をおさえるため、カメラマンのフラッシュが光り続けていた。

「サンローラン」の女性来場者のドレスコードは、モノトーン、ミニ丈やスキニーシルエット、光沢感やスパンコールなどのギラギラの装飾が特徴的だ。特にビジュー付きの黒いボディコンドレスや、ワンピースのように着用したジャケットにデニール数の低いブラックタイツを合わせるスタイリングを多く見かけた。アクセサリーでは“YSL”のロゴが入ったバッグ“クラシック・モノグラム”が人気。日本からは双子インフルエンサーのAMIAYAも来場していた。