プロフェッショナルなビジネスウェアで夏のオフィススタイル

夏季のオフィスで活躍するプロフェッショナルなビジネスウェアの紹介

メンズコレ取材チームが好き勝手に語る2020年春夏レビュー

2020年春夏シーズンのメンズコレクションを取材する記者2人が、見たまま感じたままにコレクションをレビューします。先輩記者Mは15年間メンズコレクションを見続けてきたベテラン、後輩記者Oは取材歴3年目。時には甘く時には辛口に、それぞれの視点で最新コレクションを語り合います。

ミラノメンズ最終日の「フェンディ(FENDI)」は、朝イチの公園が気持ちよかったね。お土産のバスケットに詰まったパンも美味しかった。朝ゴハンで、パン3つも食べたのに(笑)。

朝からすごい食べますね(笑)。僕はパッキングがギリギリになってしまって朝食を食べられなかったのでめっちゃ助かりました。アテンドするスタッフも全員つなぎを着ていてかわいかった。「フェンディ」は毎シーズン大掛かりなセットを組んだり、ゲストを呼んだりと“バズる”演出で楽しませてくれていたので、今回は意外なロケーションでした。

2020年春夏は、ガーデニング男子を思い描いたんだって。ということで、ショー会場は屋外の公園。ファーストルックもつなぎだったね。ブランドにとってアイコニックなストライプ“ペカン”のバスケットに、“FF”ロゴのガーデニングブーツの組み合わせ。このブーツは、日本のシューズメーカー、ムーンスターとのコラボレーション。ヴァルカナイズ製法のブーツなんだって。野暮ったいデニムとか、異素材を組み合わせたドンキージャケットにカーゴパンツなど、休日の気取らないスタイルに可愛らしさを潜めていて、心に染み入りました。ハッとするんじゃなくって、ジンワリするカンジ(笑)。

へぇームーンスターとのコラボですか。でも何だか納得です。それとほとんど全てのアイテムがブラウンやカーキ系のアースカラーだったのも印象的でした。アースカラーってつい重たくなりがちですけど、シアー素材のジャケットやコート、優しいタッチのボタニカル柄が軽やかで、見ているだけでも気持ちよかったです。今シーズンは環境問題と向き合う姿勢をコレクションで表現するデザイナーがすごく多いですが、「フェンディ」も「自然と共に生きていこう」というメッセージが感じられました。

たしかに再生ポリエステルやウールを使った「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」や、過去のコレクションをRe-Coup(回収)、Re-Cycle(再利用)した「マルニ(MARNI)」、ポジティブに生きることを訴えた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」を筆頭に、地球環境に向き合ったブランドが多いよね。ポイントは、シリアスな問題をどれだけ“自分ごと化”させて、頭で理解するのではなく、心で共感するメッセージに変えられるか?ということ。今シーズン、デザイナーはその技量が試された気がします。みんな地球がヤバくて、ファッションが負荷をかけていることは分かっているけど、だからって堅苦しい洋服、ハッピーじゃない洋服、ガマンを強いられるは着たくない。多少高くてもいいから、難しい問題を“自分ごと化”している、共感できる洋服に袖を通したい。そんな風に思い始めた中で、それをどうやって成し遂げるか?これが今シーズンのミラノメンズの優劣を決めたよね。その意味で「フェンディ」は、“ほっこり”ガーデニングっていう、誰もが“自分ごと化”できて共感できる角度から地球のことを考えた。ミラノメンズの「勝ち組」だね。

派手にランウエイショーを行っているだけではなく、スーツが主軸の「コルネリアーニ(CORNELIANI)」も展示会で天然素材と染料を使用したサステイナビリティーを意識した若々しいスタイルの新ラインを発表していましたし、ファッション業界全体が真剣に考えようとしているのは間違いありませんね。でも、やっぱりMさんの言う“自分ごと化”できるかという視点で見ると、「フェンディ」が個人的に一番すんなり入ってきました。服以外でも、バスケット型のバッグや巨大ジョウロなどの小物類もキャッチーでかわいかったです。

ジョウロは売らないと思うけどね(笑)。アクセサリーでは、メンズサイズでちょっと大きな“バゲット”が出てきたね。小さなスクエアバッグからビッグトートまで、素材も雑材からファーの編み込みまでバリエーション豊か。個人的には、FFロゴをエンボスしたスエードのハイカットスニーカーがオトナっぽくて好きでした。

僕は小物だとボタニカル柄のトートバッグが素敵だなと思いました。それとジャケットにひざ丈のロングシャツを合わせていたルックも好きでした。テーラリングがベースなんですけど、の力が抜けてとてもきれいだったので真似してみたいです。1月の2019-20年秋冬コレクションではこういう新しいフォーマルを提案するブランドがたくさんありましたけど、20年春夏のミラノメンズはまだまだストリートが強い印象でした。パリメンズではどんなスタイルが出てくるのか今から楽しみです!


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「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」を擁するカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の2019年3月期決算は、売上高が前期比13.8%増の52億3800万ドル(約5709億円)、純利益が同8.4%減の5億4200万ドル(約590億円)の増収減益だった。

ブランド別の売上高では、ロゴを改め、人気モデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)をキャンペーンに起用して若年層に訴求した「ジミー チュウ」が南北アメリカ、欧州・中東・アフリカ、そしてアジアの全地域で売り上げを伸ばし、同164.5%増の5億9000万ドル(約643億円)と大幅な増収となった。主力の「マイケル・コース」は各地域ともほぼ横ばいで、同0.3%増の45億1100万ドル(約4916億円)だった。18年12月31日に買収が完了した「ヴェルサーチェ」は、19年1~2月に1億3700万ドル(約149億円)の売り上げを上げたものの、1100万ドル(約11億円)の営業損失を出している。なお、同社は「ヴェルサーチェ」については1カ月ずらして計上するとしている。

ジョン・アイドル(John Idol)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「18年度は変化の年だった。『ヴェルサーチェ』を傘下に収め、ラグジュアリーファッション部門を拡大した。『ジミー チュウ』は力強い成長を見せている。『マイケル・コース』は成長戦略の柱である商品改革、ブランドエンゲージメントの向上、顧客体験の改善を引き続き行った」と語った。また、「減益は主に卸の不調と、北米事業の減速によるものだ。北米市場におけるアクセサリー類の売り上げが伸びる兆しはないが、その分ヨーロッパとアジアが成長しているため、営業利益率は安定している」と説明した。

同氏はまた、「ウィメンズウエアとフットウエアもいっそう拡大したい。一方、メンズ事業も軌道に乗ってきたので、何もかもウィメンズでやらなければという重圧はなくなってきた」とコメントした。「最近は小さいバッグの人気が小売りのエンジンとなっており、手が届く価格帯のブランドだけではなく、ラグジュアリーブランドでもその傾向がある。『ヴェルサーチェ』と『ジミー チュウ』でも、995ドル~1395ドル(約10万8000~15万2000円)程度のバッグが好調で、『マイケル・コース』のコレクション・ラインでも同様だ」とし、「今後の発展に向け、当社は非常にいいポジションにあると思う」と展望を述べた。


バーバリー、18年度は前年並み ティッシ効果は19年度に

バーバリー(BURBERRY)の2019年3月期決算は、売上高が前期比0.4%減の27億2000万ポンド(約3808億円)、営業利益は同6.5%増の4億3700万ポンド(約611億円)、純利益が同15.4%増の3億3910万ポンド(約474億円)だった。なお、コティ(COTY)とライセンス契約を締結しているビューティ事業を除いた売上高は同2.2%増だった。

ビューティ事業を除いた地域別では、アジア太平洋地域の売上高が同2.1%増の11億400万ポンド(約1545億円)、欧州・中東・インド・アフリカは同2.1%増の9億5800万ポンド(約1341億円)、南北アメリカは0.1%増の6億1200万ポンド(約856億円)だった。既存店売上高は、いずれの地域も1~2%程度の成長率だった。下期は中国本土での売り上げが伸びているが、これは中国政府による輸入税率引き下げの影響で、中国の消費者が旅行先ではなく国内でより多く買い物をするようになったためだ。その分、旅行先だった日本や香港の売り上げが減少している。

同社は新戦略を打ち出すなど転換期のただ中にあるが、その一環として80店程度を改装するほか、より小規模な38店を19年度中に閉店する。なお、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)=チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のコレクションは非常に好評で、前期比で2ケタ台の成長率を見せているという。

マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)は、「コスト削減などが順調に進んでおり、結果に満足している。リカルドによる製品が店頭に並んだのは19年2月頃からで、それもコレクションの10~15%程度だったため、その効果は今期の売り上げにまだほとんど反映されていない」と語った。なお、バッグ類は旧コレクションの売り上げ減速が業績に響いたが、ティッシCCOのコレクションが増加するにつれて持ち直すものと見られている。

ジュリー・ブラウン(Julie Brown)最高執行責任者兼財務責任者は、「改装された店舗にリカルドの製品が並び、さらに素晴らしい顧客体験を提供できるようになった」と述べた。

激しさを増している米中貿易摩擦について、ゴベッティCEOは、「当社は製品の多くをイギリスとヨーロッパで生産しているため、調達面での影響はほとんどない。懸念があるとすれば、何らかの理由で中国の消費者による購買意欲が低下することぐらいなので、それが引き続き旺盛であることを願っている。米中貿易協議は今後も山あり谷ありで続けられるだろうが、両国とも落としどころを探っていると思う」とコメントした。


「モンクレール ジーニアス」が毎週主役を変えるポップアップ

モンクレール Tシャツ コピー(MONCLER)」とクリエイターのコラボコレクション「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」は10月5日、8つのコレクションに週替わりでフォーカスするポップアップストア「ハウス オブ ジーニアス」を東京とニューヨークにオープンする。東京は、南青山の元「ケイト・スペード ニューヨーク」跡地。トップバッターはポップアップストア出現と同時に発売となる、フランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)「モンクレール」アートディレクターによる「8 モンクレール パーム エンジェルス」だ。

「モンクレール ジーニアス」は、時代の潮流である多様性にフォーカスし、藤原ヒロシ、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の二宮啓らさまざまなトップクリエーターと組むことで、バラエティーに富んだ洋服やスタイルを生み出している。南青山にオープンする「ハウス オブ ジーニアス 東京」も、一つのブランドのブティックであるにも関わらずコレクションごとに個別スペースを設けるなど、まるでセレクトショップのような新しい形態の店舗となる。

内装は「モンクレール ジーニアス」のファースト・コレクションを発表したミラノのプレゼンテーション会場をイメージ。12月末までに全コレクションに週替わりでフォーカスし、そのたびに商品を先行販売したり、限定アイテムを発売したりするほか、ポップアップ限定の「ザ・イエロー コレクション(THE YELLOW COLLECTION)」をローンチする。

「ザ・イエロー コレクション」は、「モンクレール ジーニアス」のキーカラーであるブラックとイエローのTシャツやビーニー、ボディーバッグのほか、ステーショナリーやiPhoneケースなども用意する。2本380円の鉛筆など、ダウンが買えない人でも、楽しめるポップアップだ。


マッシュの「セルフォード」が出店拡大 デイリー軸での訴求も強化

マッシュスタイルラボの「セルフォード(CELFORD)」がこの春、出店を加速させる。2018年2月のルミネ新宿1への1号店出店から1年がたち、百貨店を中心に全国で8店舗を展開。19年2月に神戸大丸店、3月に三越銀座店、高島屋横浜店、高島屋玉川店、西武池袋本店、三井アウトレットパーク木更津、に6店舗をオープンし、計14店舗体制を作る。

「セルフォード」は30代以上の大人の女性がターゲットで、オケージョン向けの上品なデザインのドレスワンピース、ジャケット・スカートのセットアップなどが売れ筋。前田祐子チーフプレスは「ドラマでの出演者の着用などが追い風となり、立ち上げから勢いよく売れた」と話す。

18年は春夏・秋冬通じて予算比120%強で推移した。好調要因は「リーズナブルでかつ上質に見えるオンシーン向けの服が欲しいという女性のニーズをうまく取り込めたこと」(前田チーフプレス)。群馬・桐生や愛知・尾州など国内産地の生地をオリジナルで作ったり、ウォッシャブルなどの機能素材を使ったりというような凝った商品を、1~3万円台の比較的値ごろな価格で提供することで客の心をつかんだ。前田チーフプレスは「卒入園式に臨む若いママさんから4~50代の大人の女性まで、リーズナブルでいいドレスなら『セルフォード』と思ってくれている顧客がすでにたくさんいる」と手応えを話す。

出店で拠点を増やし認知拡大を図る一方で、「今は顧客と『セルフォード』をつなぐ線はオケージョン向けのアイテムが中心。デイリーシーンにも対応できるアイテムを別軸で強化し、オンでもオフでも頼られるブランドを目指す」。今期は従来の白、ベージュ、ネイビー、グレーが多くを占めていたカラーパレットに、カジュアル使いしやすいグリーン、オレンジ、ブルーといった色のアイテムを投入。ダリアのブーケをモチーフにした花柄のブラウスや夏の野花をイメージしたボタニカルな雰囲気のシフォンワンピースなど、上品に着られる柄物のアイテムもラインアップする。

なお、3月にオープンする新店舗および公式オンラインストアでは、人気アイテムの“オリジナルチューリップレーススカート”(1万8000円)をそれぞれの店舗の限定カラーで販売するほか、2万円以上の購入者にオリジナルファブリックソフナーをプレゼントする。


「サンローラン」の来場者はエッフェル塔と共にギラギラ輝く

サンローラン(SAINT LAURENT)」のウィメンズのファッションショーは、4シーズン連続でパリのランドマークであるエッフェル塔を望むトロカデロ広場に建てられた巨大な特設会場で行われている。今季も夜8時にエッフェル塔がキラキラとライトアップする時間に合わせ、7時45分には会場に入るためのゲートを完全にクローズする体制。エッフェル塔のライトアップで建物のシルバーの外壁が鏡のように反射して幻想的に輝いた。

巨大な会場はキャパシティーも大きく、世界中からバイヤーやスタイリスト、プレス関係者からセレブリティー、ブランドの顧客まで数百人が集まった。フロントローには大御所モデルのケイト・モス(Kate Moss)をはじめ、女優のカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)やブランドの広告にも登場した映画監督のヴィンセント・ギャロ(Vincent Gallo)ら常連客が並ぶ。また映画「くるみ割り人形と秘密の王国」で主人公のクララを演じた女優のマッケンジー・フォイ(Mackenzie Foy)ら新世代のセレブたちの姿もあった。会場内ではショー開始寸前までセレブの写真をおさえるため、カメラマンのフラッシュが光り続けていた。

「サンローラン」の女性来場者のドレスコードは、モノトーン、ミニ丈やスキニーシルエット、光沢感やスパンコールなどのギラギラの装飾が特徴的だ。特にビジュー付きの黒いボディコンドレスや、ワンピースのように着用したジャケットにデニール数の低いブラックタイツを合わせるスタイリングを多く見かけた。アクセサリーでは“YSL”のロゴが入ったバッグ“クラシック・モノグラム”が人気。日本からは双子インフルエンサーのAMIAYAも来場していた。


「アリーズ」と世界的アーティストらによるプロジェクトがThe Massで開催

ファッションブランド「アリーズ(ARIES)」のクリエイティブディレクター、ソフィア・マリア・プランテラ(Sofia Maria Prantera)と写真家のデイビッド・シムズ(David Sims)、芸術家のジェレミー・デラー(Jeremy Deller)は3月23~30日、ファッションとアートのコラボプロジェクト「WILTSHIRE BEFORE CHRIST(WB4C)」を開催する。場所は、東京・原宿のアートギャラリー、The Mass。1月のロンドン、2月のニューヨーク、ミラノに続く4都市目の開催となる。

同エキシビションでは、デラーが手掛けた音響と映像に加えて、シムズが撮り下ろした写真を展示。“過去と現在の端境”をコンセプトに、ストーンヘンジやエーヴベリーといったイギリスの遺跡群をロケ地に、「グッチ(GUCCI)」なども起用するジェーン・ハウ(Jane How)が「アリーズ」の洋服をスタイリングした。音や風景とともにブランドの世界観を体験できるファッションとアートのコラボとなっている。

プランテラ=ディレクターは「私にとって『アリーズ』はアイデアやコラボの手段でもあり、私たちが生み出す服のフレーム。どこにもファッションがある今、洋服だけでブランドを定義付けるのが難しく、正直、商業的だけとなると面白みがない。製品以外のアウトプットに投資することが私にとって不可欠で、このプロジェクトで他人とつながる新しい方法を提案したい」とコメントした。

会場では、プロジェクトを記念したアートブック(価格未定)を販売する。遺跡ガイドのような形式で、シムズが古代遺跡で撮影した50点以上のファッションフォトに考古学者のテキストをそえる。また、Tシャツやスエット、パーカ、シャツといった「アリーズ」とデラーのコラボコレクション約30型をドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)限定で23日から販売。ドーバー ストリート マーケット ギンザでは23日に3人を迎えたブックサイン会を予定する。

「アリーズ」は2012年に「サイラス(SILAS)」の創業者でもあるプランテラとグラフィックデザイナーのファーガス・ファーガデリック・パーセル(Fergus “Fergadelic” Purcell)がスタートしたジェンダーレスのファッションブランド。パーセルは「パレス(PALACE)」のメインロゴなどを手掛けたほか、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「ラフシモンズ(RAF SIMONS)」などにもグラフィックを提供している。


ロンドンで開催中の「クリスチャン・ディオール」展 その中身とキュレーターの想い

2月2日からロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(以下、V&A)で展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ(Christian Dior : Designer of Dreams)」が開催中だ。英国ではこれまでで最大の「クリスチャン・ディオール」展であり、同美術館にとっては2015年のアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の展覧会「Savage Beauty」以来の大規模なファッション展となる。今回の展覧会は昨年パリの装飾芸術美術館で開催された、70万人を超える人が詰めかけて大成功を収めた回顧展がベースとなり、V&Aのキュレーター、オリオール・カレン(Oriole Cullen)によって再編集された内容だ。合計約500点の展示品のうち60%が新たに加えられたもので、パリでの回顧展からは内容を一新し、英国とムッシュ・ディオールとの関係性に焦点を当てている。大好評につき7月14日までだった会期が9月1日まで延長されることも決まった。
開幕から数日後の2月中旬に訪れると、すでに入場を待つ人が30m近い列をなす盛況ぶりだ。テーマに沿った11のギャラリーは、ムッシュ・ディオールによって描かれたスケッチ画の展示「Christian Dior」から始まる。そして1947年のディオールの最初のコレクションをフィーチャーした「The New Look」、47~57年ムッシュ・ディオール草創期のコレクションを追った「The Dior Line」と続く。


4つ目のギャラリーが今回の目玉といえる「Dior in Britain」だ。ここでは「クリスチャン ディオール」が英国の顧客のためにデザインした数々のドレスや英国でのショーで発表した作品が展示されている。中央には、ロンドン博物館が収蔵する故マーガレット妃が21歳の誕生日に着用したドレスが展示され、左側の壁にはそれを着用した巨大ポートレートも飾られている。カレンによると、ムッシュ・ディオールは顧客のために英国のカントリーハウスで非公式のファッションショーを何度か開催したという事実が、同展のためのリサーチによって明らかになったそう。王室やセレブリティのみではなく、英国の多くの女性から愛し愛された関係なのだと分かる。「故郷をのぞいて、生活様式をこれほどまでに好んでいるのは英国だけ。英国人に非常に似合うツイードの洋服だけでなく、彼らがゲインズバラの時代から身に付けている、決して真似することのできない絶妙な色彩と流れるように美しいドレスを、心から愛している」というムッシュ・ディオールの言葉も紹介されていた。先日発表された「ディオール」の2019-20年秋冬コレクションは50年代の英国女性から着想を得たとあって、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=クリエイティブ・ディレクターはこのギャラリーの展示からインスパイアされたのだろうと想像した。
続いて、創設から現在までの歴史的なドレスを展示するギャラリー「Historicism」へと移る。宮殿の中にいるようなセットの中には、19世紀ヴィクトリア朝時代の装飾を愛していたというムッシュ・ディオールの作品と、その後にクリエイティブ・ディレクターとして継承したデザイナーらによる、豪華なヴィクトリア朝のドレスが並ぶ。次のギャラリー「Travels」では、世界の国や文化から着想を得た数々のドレスが展示されている。メキシコ、スペイン、インド、中国、日本など各国の伝統衣装や独自技術を「クリスチャン ディオール」が再解釈したドレスの美しさは、国境も時代をも超越したきらびやかな魅力を放つ。植物をこよなく愛していたムッシュ・ディオールに捧げるかのように、ギャラリー「The Garden」には天井から植物の装飾が施され、植物からのインスピレーションがデザインに投影されたドレスが並ぶ。
「Designers for Dior」ギャラリーでは、ムッシュ・ディオールの死後ブランドを率いた6人のデザイナーの作品にスポットを当てている。死去するまで創始者自身が活躍したのは10年間と決して長くはないが、その偉大な功績と遺志を継ぐデザイナーやクチュリエによって、さまざまな解釈や時代と呼応して「ディオール」が成長し発展し続けているのだと見て取れるような内容だ。「The Ateliers」では、制作の第1歩となる、白のコットンで作られた試作品が天井までずらりと並ぶ。続く「Diorama」では、帽子や靴、バッグなどの小物からミニチュアのドレス、香水、表紙を飾った雑誌など、通路沿いの壁にしつらえられたガラスケースにぎっしりと展示され、そこを抜けるとクライマックスの「The Ballroom」にたどり着く。天井からのライティングとプロジェクションマッピングによって内部を舞踏会(Ball)のような大広間に見立て、過去70年間に制作されたフォーマルなイブニングドレスで展覧会は締めくくられる。
「ムッシュ・ディオールはクチュリエとして活動し始めてわずか10年ほどで亡くなりましたが、その功績は服飾史上においても確固たる位置を占めています。女性のシルエットを再定義し、1947年に登場した“ニュールック”は、第二次世界大戦後に質素な生活を余儀なくされ疲弊していたパリやファッション業界を活性化させました。そんな彼が第二の故郷として愛していた英国で展覧会を開催するのは、私たちにとって意義深いことです」とカレンは語った。「ディオール」の華やかな歴史を紐解くとともに、豊かな遺産や突出した創造性がどのように生み出されてきたのか、その着想源にも触れられる見応えのある華麗な展覧会だ。カレンは「ムッシュ・ディオールがどのように歴史を変えたのか、そして継承するデザイナーやクチュリエの職人技と伝統技術によって『ディオール』がどのように物語を紡ぎ女性に夢を与え続けているのか、理解を深めてもらえれば」と展覧会への想いを語った。
ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける


フィンランド語で波を意味する新進気鋭ブランド

2015FWよりスタートしたフランス発の新進気鋭ブランド、AALTO(アールト)。

過去にもジバンシィなどのブランドで経験を積み、2018年現在ルイ・ヴィトンのメンズチームにてデザインをしている、トーマス・メリコスキ氏が手掛けるブランドです。

ブランド名の由来は、デザイナーの出身国でもフィンランド語の「波」。

デザイナーが抱くオーロラのイメージ=波と、フィンランドの有名建築家アルヴァ・アールトの二つから取られて名付けられました。

選び抜かれた工場で丁寧に作られたハイクオリティなアイテムは、デザイナーの出身地であるフィンランドのカルチャーや伝統をミックスした新しい表現で、斬新なコレクションを展開しています。

元々ビッグメゾンで名を馳せていたデザイナーが、出身地でもある北欧のルーツを感じさせながら展開する上品で可愛らしいアイテムはパリのファッションシーンを賑わせています。

基本的にはレディースのブランドなのですが、完全なるインポートブランドな訳で、コレクションに現れるモデルに180cm前後の方もいらっしゃるため、ユーザーにもそれぐらいのサイズ感を想定して作られています。

そのため32,34,36,38,40というサイズ展開の内、日本であれば36,38,40辺りをインスタントなメンズサイズとして定義することもできるようです。

そういう意味ではよりサイズを見つけやすいのようなイメージでメンズにも着てもらえるブランドと言えます。

レディースブランドでありながら、メンズライクな無骨さもあり、この独特なセンスはストリートなテイストにも刺さり、提案として相当熱いかと思います。

とは言え正規のレディース含め、まだ相当感度の高い店舗でしか取り扱いがない所もあり、今メンズサイズでAALTOを手に入れることができるのはnnookkぐらいかもしれません。


一度見ると中々に頭を離れてくれないインパクトのあるセンタープリーツ。

ウエスト部分に畳まれるように組み込まれた非常に独特なタックのデザインが特徴的ですが、これは北欧の建築物の”屋根”からインスピレーションを得ているそう。メンズではそれほど意識することもないかもしれませんが、アイテム自体のボリューム感というか質量感と裏腹に後ろから見たヒップ部分のまとまりが非常にスッキリ決まるため、女性からの支持が相当厚い模様です。
メンズでもネオンサインなど非常にカッコいいけど絶妙にハマり切るサイズが難しいということも多いかと思いますので、そういう場合にもかなり刺さるのではないでしょうか?

もちろん露骨にモードな一着ではありますが、日常着として確保したいシルエットをキープしながら、太いワタリ、極めて長い丈、カットオフの裾など、アイテム単体で気分によって料理できる要素もまだまだ残されている素敵な一着です。

ワイドパンツは昨今のトレンドで根強く中心にあるように思いますが、こちらはその中でも一つの大きな選択肢に入ってくるのではないかと思います。

アイテム単体でもアレンジできますが、レディースなら合わせるヒールの高さなどで折り返すのかストレートで下すのかも楽しいですし、メンズでもゴツめのスニーカーを合わすのか爪先にかけてシャープになるドレッシーなシューズと合わすのかでまた一気に雰囲気が変わります。

32,34をレディース、36,38,40あたりをメンズで考えて色々試行錯誤していだければ。

こうして紹介してまいりましたブランド、AALTO(アールト)。

デニムに限らず他のアイテムも非常に可愛らしい物揃いです。

是非また探してみてください。