メンズコレ取材チームが好き勝手に語る2020年春夏レビュー

2020年春夏シーズンのメンズコレクションを取材する記者2人が、見たまま感じたままにコレクションをレビューします。先輩記者Mは15年間メンズコレクションを見続けてきたベテラン、後輩記者Oは取材歴3年目。時には甘く時には辛口に、それぞれの視点で最新コレクションを語り合います。

ミラノメンズ最終日の「フェンディ(FENDI)」は、朝イチの公園が気持ちよかったね。お土産のバスケットに詰まったパンも美味しかった。朝ゴハンで、パン3つも食べたのに(笑)。

朝からすごい食べますね(笑)。僕はパッキングがギリギリになってしまって朝食を食べられなかったのでめっちゃ助かりました。アテンドするスタッフも全員つなぎを着ていてかわいかった。「フェンディ」は毎シーズン大掛かりなセットを組んだり、ゲストを呼んだりと“バズる”演出で楽しませてくれていたので、今回は意外なロケーションでした。

2020年春夏は、ガーデニング男子を思い描いたんだって。ということで、ショー会場は屋外の公園。ファーストルックもつなぎだったね。ブランドにとってアイコニックなストライプ“ペカン”のバスケットに、“FF”ロゴのガーデニングブーツの組み合わせ。このブーツは、日本のシューズメーカー、ムーンスターとのコラボレーション。ヴァルカナイズ製法のブーツなんだって。野暮ったいデニムとか、異素材を組み合わせたドンキージャケットにカーゴパンツなど、休日の気取らないスタイルに可愛らしさを潜めていて、心に染み入りました。ハッとするんじゃなくって、ジンワリするカンジ(笑)。

へぇームーンスターとのコラボですか。でも何だか納得です。それとほとんど全てのアイテムがブラウンやカーキ系のアースカラーだったのも印象的でした。アースカラーってつい重たくなりがちですけど、シアー素材のジャケットやコート、優しいタッチのボタニカル柄が軽やかで、見ているだけでも気持ちよかったです。今シーズンは環境問題と向き合う姿勢をコレクションで表現するデザイナーがすごく多いですが、「フェンディ」も「自然と共に生きていこう」というメッセージが感じられました。

たしかに再生ポリエステルやウールを使った「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」や、過去のコレクションをRe-Coup(回収)、Re-Cycle(再利用)した「マルニ(MARNI)」、ポジティブに生きることを訴えた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」を筆頭に、地球環境に向き合ったブランドが多いよね。ポイントは、シリアスな問題をどれだけ“自分ごと化”させて、頭で理解するのではなく、心で共感するメッセージに変えられるか?ということ。今シーズン、デザイナーはその技量が試された気がします。みんな地球がヤバくて、ファッションが負荷をかけていることは分かっているけど、だからって堅苦しい洋服、ハッピーじゃない洋服、ガマンを強いられるは着たくない。多少高くてもいいから、難しい問題を“自分ごと化”している、共感できる洋服に袖を通したい。そんな風に思い始めた中で、それをどうやって成し遂げるか?これが今シーズンのミラノメンズの優劣を決めたよね。その意味で「フェンディ」は、“ほっこり”ガーデニングっていう、誰もが“自分ごと化”できて共感できる角度から地球のことを考えた。ミラノメンズの「勝ち組」だね。

派手にランウエイショーを行っているだけではなく、スーツが主軸の「コルネリアーニ(CORNELIANI)」も展示会で天然素材と染料を使用したサステイナビリティーを意識した若々しいスタイルの新ラインを発表していましたし、ファッション業界全体が真剣に考えようとしているのは間違いありませんね。でも、やっぱりMさんの言う“自分ごと化”できるかという視点で見ると、「フェンディ」が個人的に一番すんなり入ってきました。服以外でも、バスケット型のバッグや巨大ジョウロなどの小物類もキャッチーでかわいかったです。

ジョウロは売らないと思うけどね(笑)。アクセサリーでは、メンズサイズでちょっと大きな“バゲット”が出てきたね。小さなスクエアバッグからビッグトートまで、素材も雑材からファーの編み込みまでバリエーション豊か。個人的には、FFロゴをエンボスしたスエードのハイカットスニーカーがオトナっぽくて好きでした。

僕は小物だとボタニカル柄のトートバッグが素敵だなと思いました。それとジャケットにひざ丈のロングシャツを合わせていたルックも好きでした。テーラリングがベースなんですけど、の力が抜けてとてもきれいだったので真似してみたいです。1月の2019-20年秋冬コレクションではこういう新しいフォーマルを提案するブランドがたくさんありましたけど、20年春夏のミラノメンズはまだまだストリートが強い印象でした。パリメンズではどんなスタイルが出てくるのか今から楽しみです!

トップ ニュース 「マイケル・コース」を擁するカプリ 18年度は増収減益 前の記事 ニュース 次の記事 「マイケル・コース」を擁するカプリ 18年度は増収減益

「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」を擁するカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の2019年3月期決算は、売上高が前期比13.8%増の52億3800万ドル(約5709億円)、純利益が同8.4%減の5億4200万ドル(約590億円)の増収減益だった。

ブランド別の売上高では、ロゴを改め、人気モデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)をキャンペーンに起用して若年層に訴求した「ジミー チュウ」が南北アメリカ、欧州・中東・アフリカ、そしてアジアの全地域で売り上げを伸ばし、同164.5%増の5億9000万ドル(約643億円)と大幅な増収となった。主力の「マイケル・コース」は各地域ともほぼ横ばいで、同0.3%増の45億1100万ドル(約4916億円)だった。18年12月31日に買収が完了した「ヴェルサーチェ」は、19年1~2月に1億3700万ドル(約149億円)の売り上げを上げたものの、1100万ドル(約11億円)の営業損失を出している。なお、同社は「ヴェルサーチェ」については1カ月ずらして計上するとしている。

ジョン・アイドル(John Idol)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「18年度は変化の年だった。『ヴェルサーチェ』を傘下に収め、ラグジュアリーファッション部門を拡大した。『ジミー チュウ』は力強い成長を見せている。『マイケル・コース』は成長戦略の柱である商品改革、ブランドエンゲージメントの向上、顧客体験の改善を引き続き行った」と語った。また、「減益は主に卸の不調と、北米事業の減速によるものだ。北米市場におけるアクセサリー類の売り上げが伸びる兆しはないが、その分ヨーロッパとアジアが成長しているため、営業利益率は安定している」と説明した。

同氏はまた、「ウィメンズウエアとフットウエアもいっそう拡大したい。一方、メンズ事業も軌道に乗ってきたので、何もかもウィメンズでやらなければという重圧はなくなってきた」とコメントした。「最近は小さいバッグの人気が小売りのエンジンとなっており、手が届く価格帯のブランドだけではなく、ラグジュアリーブランドでもその傾向がある。『ヴェルサーチェ』と『ジミー チュウ』でも、995ドル~1395ドル(約10万8000~15万2000円)程度のバッグが好調で、『マイケル・コース』のコレクション・ラインでも同様だ」とし、「今後の発展に向け、当社は非常にいいポジションにあると思う」と展望を述べた。